萬電工業有限会社のブログをご覧いただき、ありがとうございます。
今回は、私たちの生活に欠かせない「通信インフラ」の未来について、少し専門的な視点からわかりやすく解説する連載(全3回)をスタートします。
テーマは、昨年にニュースでも話題になった「固定電話(メタル回線)の廃止」です。

これは単なる「古い設備の取り替え」ではありません。
明治時代から日本の通信を支えてきたインフラが、現代のデジタル社会に合わせて生まれ変わる、国家規模の構造改革なのです。
近年の激甚化する自然災害に対し、より軽量で強度のある光ファイバーや、物理的な線を持たないワイヤレスへの移行は、「災害に強い国づくり」のために不可欠な構造改革だと言われています。

「IP網への移行」と「メタル回線廃止」は別物
まず、よくある誤解を解いておきましょう。
「2024年に電話がIP網に変わった」というニュースを聞いたことはありませんか?
「もう工事は終わったんじゃないの?」と思われがちですが、実は違います。
- 第1フェーズ(完了済)
NTT局内の「交換機」が最新機器に変わりました。しかし、各家庭までの「線(銅線)」はそのままです。
- 第2フェーズ(これから)
2035年にかけて、皆様のご自宅や会社に繋がっている物理的な「銅線(メタルケーブル)」そのものを撤去し、光ファイバーや無線へ置き換えます。
私たち萬電工業が関わるのも、この物理的なインフラの転換工事です。

2035年に向けたロードマップ
NTT東西の発表によると、この移行は一斉に行われるわけではありません。
- 2026年3月まで: 準備期間
- 2026年4月から: メタル回線利用料金の改定(値上げ)
- 2026年度以降: 設備の老朽化が激しいエリアや、災害リスクの高いエリアから順次、撤去工事開始
- 2035年度まで: 全国のメタル回線撤去完了(完全移行)
特に注目すべきは、来たる2026年4月からの料金改定です。
維持コストの上昇に伴い、加入電話(メタル)の基本料金が値上げとなります。

これは、「経済的にも、機能的にも、次世代インフラ(光・ワイヤレス)へ移行する時期が来た」というサインとも言えます。
なぜ、「メタルケーブル」を撤去するのか?
「今のままで困っていないのに…」と感じる人も一定数いると思います。
しかし、インフラを維持するという視点から見ると限界が近いとも考えられます。
設備の老朽化と「2025年問題」
メタル回線網の多くは高度経済成長期に作られたものです。
物理的な寿命に加え、保守部品が枯渇する「2025年問題」に直面しており、「直したくても部品がない」状態になりつつあります。
契約数の減少と維持コスト
携帯電話の普及で固定電話の契約数は激減しました。
しかし、インフラは「使う人が減ったからメンテナンスもしなくていい」とはいきません。
広大な通信網を維持するコストが限界に達していると言われています。
だからこそ、現代のデジタル社会に合わせて生まれ変わる、国家規模の構造改革が必要な時期だと考えられています。

次回は、地下ケーブル敷設工事のプロとして「なぜ新しい回線は災害に強いのか?」その技術的な理由を深掘りします。
(第2部へ続く)

